今日もデイサービスが始まりました!
利用者さんが送迎車でやってきます。
デイサービスは持病を抱えている利用者さんがほとんどですが、治療や定期通院で症状が安定している方が利用されます。
しかし、時々、来所時から明らかに体調が悪い状態でやってくる利用者さんもいるんですね。

今から書くお話は、来所時に体調に異変があり、後に硬膜下血腫と判明した利用者さんの実際のお話です。
春が終わり、じりじりと暑い日が続いていたある日。
私は、送迎には出ず、玄関で迎え入れの担当でした。
利用者Aさんが来所され、『おはようございます!』と声を掛けました。
Aさんが車の座席から立ち上がろうとした時、かなりふらつきがあり、歩行状態が不安定でした。
もともと独歩の利用者さんで、足取りがしっかりされていただけに、
『ん?おかしいな?』と感じました。
送迎担当のスタッフから、
”昨日庭先でこけて、左の膝とすねを打ったから痛みがあるみたい”
と報告がありました。
「脚が痛いですか?大丈夫ですか?」
と寄り添いながら声をかけると、
Aさんが、
「昼ご飯の後、歯を磨くのを忘れたから、今から洗面台貸して欲しいんや」
といいました。
時刻は朝の9時だったので、
「今朝ですよ、洗面所は使ってくださいね。」
と言うと、
「え?朝と違うやろう!さっき昼ご飯食べてきたのに。」
と顔をしかめました。
物忘れがかなりある利用者さんでしたが、失見当な発言は今まで無かったので、さらにイヤな予感がしました。
洗面所で歯を磨き、その後、転倒があったとの事だったので、ボディチェックをすると、左側だけ足や腕に5,6箇所の打撲痕が見られました。
歩行状態も、左に傾いていってしまう様子が見られました。
体温、血圧、脈拍、SpO2は異常なし。
失見当な発言は、来所時のみでしたが、歩行状態はかなり悪く個別機能訓練の時、理学療法士の先生が
Aさんの視野が60度~80度くらいしか見えていない事に気がつき、デイサービスを続けて利用するのは危険と判断し、早めに脳神経外科へ受診してもらう流れとなりました。
利用者さんの家族がその後迎えにこられ、病院へ。
その後、利用者さん家族から連絡があり、
硬膜下血腫だった事が判明しました。
即入院となり穿頭ドレナージ術を施行。
翌日には、状態はかなり安定し、2週間後には退院する事が出来ました。
硬膜下血腫というのは、
頭部外傷後、通常1~2ヶ月かけて、頭蓋骨の下にある硬膜(脳と脊髄を覆う膜の一つ)と脳の間にじわじわと血液が溜って血腫ができる病気です。
血腫が大きくなり、脳を圧迫することで物忘れ、認知症によく似た症状(意欲の低下、性格の変化、反応の低下)、片方の手足に力が入らない、歩行困難感、頭痛、けいれん、言葉が出にくいなど様々な症状をきたします。
硬膜下血腫は、軽微な頭部打撲や頭部打撲はしていなくても尻もちをつくなどの、脳が揺り動かされるような転倒でも起こります。
高齢者に多い疾患といえます。
私は、利用者さんの状態から、
これは硬膜下血腫やなとはわかりませんでしたが、なにかしら脳に異常があるのでは?
早めに病院へ行った方がいい!
と判断しました。
デイサービスでは、医師が常駐していないので、利用者さんの変化に気づき、対応していかなけらばなりません。
難しさを感じる部分ではあります。
しょっちゅう起こる事ではありませんが、起こりうる事を想定して、利用者さんの健康を守っていきたいですね!